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【東急ホテルズ】子どもたちの『食の自立』と『五感の育成』を目指すTCU味覚の授業 福田メソッド

食を通じて子どもたちの「五感センサー」を呼び覚ます!
東急ホテルズ 総料理長 福田 順彦の食育授業を東京都市大学付属小学校で実施

4年生を対象に児童の健やかな身体の成長や豊かな心・人間性を育むことを目的とし、全12回の特別授業を実施します。日本の食文化である“うま味”や食材の見極め方など、ただ聞いて覚えるだけでなく体験やフィールドワークを通じて楽しみながら学べる内容です。

第1回 講義

五感について(嗅覚)

2024年4月16日、今年度最初の授業が行われました。これから一年間、「五感」を通して食について学んでいきます。

第一回目のテーマは「嗅覚」。
始めに、子どもたちにはカップに入ったバニラビーンズが配られました。バニラビーンズは中身がわからないように蓋がされています。
蓋に小さな穴を開け、嗅覚を使って匂いを嗅ぐ子どもたちは、「バニラアイスだ!」「クッキーみたい」とバニラビーンズ特有の甘い香りに嬉しそうな表情を浮かべていました。
同時に、「ガソリンの匂いがする」「苦そう…」と、素直で自由な感想も聞こえてきました。

いつもの授業とは違う雰囲気に、最初は緊張した様子の子どもたちでしたが、食育で最も大切な「感じたことを自分の言葉で書き留めること」を初回からしっかり実践できていました。

2024年度の授業がスタートしました。
1年間、よろしくお願いいたします!

カップの蓋に穴を開ければ、教室に甘い香りが広がります。

中身の正体がわかったら、こっそり先生に教えてあげます。

正解はバニラビーンズ。初めて見るという子どもたちは、甘い香りからは想像がつかない見た目に、「なにこれ~!」と驚いた様子。

講師コメント

食育で最も大事なことは、食を通して感じたことを自分の言葉で表すこと。そして、それを他の人に共有すること。五感は食卓で育まれます。是非、家に帰ったら今日の授業のことを家族へ話し、夜ご飯の感想を共有し合ってみてください。

第2回 講義

五感について(視覚、聴覚、触覚)

4月22日に行われた第2回のテーマは「視覚、聴覚、触覚」。
今回はバナナとクラッカー、コンソメスープを使って勉強しました。

熟す前の青緑色をしたバナナと普段から見慣れている黄色いバナナを使い、その見た目からどんな味を想像するのか、手や舌で感じる触感にどのような違いがあるのかを共有しました。
青緑色のバナナの見た目から「苦そう…」と不安げな表情を浮かべる子どもたちでしたが、その予感は的中。やっぱり苦くて硬いバナナでしたが、初めての経験に楽しそうな子どもたちでした。

聴覚の実験では、お友だちがクラッカーを食べる音に集中して耳を傾けます。クラッカーを噛んだ瞬間と咀嚼していく音の違いを聞き分けました。

最後は、温度の異なるコンソメスープを味っていきます。
常温よりも温められたスープの方が「味が濃い!」「美味しい!」と口にする子どもたちでしたが、実は味付けは同じ。
温度によって美味しさが変化する事を学びました。

今回のテーマは視覚・聴覚・触覚です。

初挑戦の青いバナナ。
「苦い!」と言いながらも、楽しそうな子どもたち。

お友だちの耳元でクラッカーをかじって、音を共有しあいます。

コンソメスープは、後引く美味しさ。みんな残さず飲んでいました!

講師コメント

食事を美味しく食べられる適温で提供することは、相手を思いやる愛情の一つ。
今日は帰ったら、いつも美味しいご飯を作ってくれているお母さんやお父さんに必ず感謝を伝えてください。

第3回 講義

味覚と4つの基本味

5月13日に行われた第3回のテーマは「味覚の再認識」。
今回は「塩味」「酸味」「苦味」「甘味」でそれぞれ味付けされた水溶液を使って勉強しました。

用意された4種類の水は、無色透明で匂いもなく、たくさんの水に対してごく少量の成分しか入っていないため区別をつけるのに高い集中力が必要です。
緊張などの心理状態や体調によっても判断力は変化すると言われており、子どもたちは目を閉じて水溶液を味わっていました。
「塩味」や「酸味」には、子どもたちも「海水だ!」「レモン水の味がする」と鋭い反応を示していましたが、馴染みのない「にがり」が入った水溶液には「なにこれ~!」と顔をしかめていました。
お酒やコーヒーなどの嗜好品によって苦味に慣れている大人に比べ、子どもは苦味を感じたときに防衛本能が働くため大人よりも敏感に感じ取れるそうです。
薄い味でもしっかりと味を感じとることができる今の時期に、正しい味覚を身に付けることが大切です。

3回に亘って学んできた五感の授業。最後は味覚についてです。

「塩味」「酸味」「苦味」「甘味」でそれぞれ味付けされた水溶液を正解がわからない状態で飲み、感じたことを共有します。

中身がわからない水溶液に、躊躇しながらも手を伸ばす子どもたち。
にがりの入った水には戸惑った様子。

真っ白だったメモも、授業が終わるころにはびっしり。
講師の話や体験を通して感じたことを、しっかりと書き留めていました。

講師コメント

味の違いを舌で正しく感じられたら、料理を上手に味付けすることができます。皆さんのご両親がそのようにして美味しいご飯を作ってくれていることを当たり前と思わず、常に感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。

第4回 講義

味覚を妨害するもの

6月6日に行われた第4回のテーマは「味覚を妨害するもの」。
今回は、ミネラルウォーターと炭酸水、ミックスジュースを使って実験していきます。

味覚を妨害するものとして、口にしたもの自体から感じる刺激と、見た目や音などの外部から感じる刺激が挙げられます。まずはミネラルウォーターと炭酸水を飲み比べて、刺激の強さや感じたことを共有しました。コーラなどの味があるものでなく、純粋な炭酸水は初めて飲むという子どもたち。口にするなり「にがーい!」「ピリピリする~」と渋い表情を浮かべていました。

次に、外部からの刺激(=雑音)による妨害を体験しました。
ヘッドフォンを装着し雑音を聞きながらミックスジュースを味わうのと、何にも妨害されず味だけに集中した時に感じる違いを共有しました。ミックスジュースにどの果物が使われているかを当てる際には、雑音を聞きながら味わう時よりも集中したときの方が正解率が高く、テーマである「味覚を妨害するもの」を身をもって体験することが出来ました。

ミネラルウォーターと炭酸水、ミックスジュースを使って実験していきます。

感じたことはしっかり共有。
今回も元気に手が挙がります!

口にしたものから感じる刺激は、味覚を妨害します。
初めて飲む炭酸水には、この表情…。

見た目や音など外部からの刺激も味覚を妨害する要因の一つ。
ミックスジュースを味わい、どの果物が使われているかを当てていきます。

回を重ねるごとに講師たちと仲良くなっていく子どもたち。
「また来月ね~!」

講師コメント

味覚を妨害するものとして、今回は口にするもの自体の刺激と外部からの刺激があることを学びましたが、心身の状態や環境によっても味覚は変化します。
今から4年前、小学校に入学したばかりの皆さんもコロナウイルス対策による「黙食」を経験したと思います。ひとり静かに食を楽しむのも良いですが、やはり家族や友だちと会話をしながら食事をするのが一番美味しく感じますよね。今日は雑音を聞きながらジュースを飲んだので、もしかしたらあまり美味しくなかったかもしれません。
今日の給食や自宅での夕食では、是非会話を楽しんで食べてみてください。

第5回 講義

テーブルマナーについて

7月8日に行われた第5回のテーマは「テーブルマナー」。
食べながら肘をつかない、口の中にものを入れたまま話さないなどの基本的なマナーから、ブッフェやコース料理をいただく際に気を付けることまで勉強しました。
また「いただきます」という挨拶は、生産者や食事を作ってくれる人、食事を私たちのもとへ届けてくれる人、そして何より私たちに捧げてくれている命に感謝を込めて贈る言葉であることを学び、同時に何不自由なく食事が出来ていることのありがたみを再認識しました。

実践編では、箸を正しく使う練習として、カップに入った3つの白いんげん豆を箸で掴み別のカップへ移し替える競争をしました。福田総料理長の提案でチャンピオン決定戦まで行われ、大盛り上がりの時間となりました。

まずは正しい箸の持ち方を勉強します。

親指と人差し指を直角に伸ばした時の長さ「ひとあた」の1.5倍が、ちょうど良い箸の長さと言われています。

正しく箸が持てたら、豆を掴んでカップから別のカップへ移し替える速さを競っていきます!
手元を見つめる眼差しは真剣そのもの。

豆移し競争は大盛り上がり!
チャンピオン決定戦まで行われました。

講師コメント

今日は、レストランやブッフェで食事をするときのマナーについて勉強しましたが、マナーの基本は家庭で磨かれます。
皆さんはこれから、中学、高校と進み大人になっていきますが、食事以外のマナーも身につけていきましょう。

第6回 講義

日本の食文化 うま味

9月9日に行われた第6回のテーマは「日本の食文化 うま味」。
夏休みが明け約2ヶ月ぶりの授業に、子どもたちは終始楽しそうな様子でした。

今回は様々なメディアで活躍されている料理研究家の脇 雅世さんをお迎えし、日本の食文化とうま味について勉強していきます。
「うま味」は、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」において、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」に続く5つ目の基本味です。古来日本人は「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、一汁三菜を基本とする食事スタイルとともに、長寿や肥満防止に役立っています。そんな日本が誇る味覚である「うま味」とは一体何なのかを知るべく、実際にお出汁を味わっていきます。
子どもたちに配られたのは、昆布出汁、昆布と鰹節の合わせ出汁(塩なし・塩あり)の3種類。「一番おいしい!」と好評だったのは、やはり塩で味が調えられた合わせ出汁でしたが、素材の味が存分に活かされた"一番出汁"でそれぞれの味を楽しむ子どもたちでした。

最後は、「うま味」が凝縮された食材である煮干しの試食です。噛めば噛むほどあふれ出す「うま味」に、子どもたちからは「おやつにもう一回食べたい!」と、可愛い感想が聞こえてきました。

夏休み明け約2ヶ月ぶりの再会に、子どもたちも嬉しそうな様子。

特別講師に脇 雅世さんをお迎えし、日本の食文化とうま味について学んでいきます。

3種類の一番出汁を味わい、香りや味の感想を共有し合います。

3種類の出汁をそれぞれ味わった後は、すべて混ぜて飲んでみます。「これはこれで美味しい!」と大好評。

お昼前の授業だったこともあり、お腹を空かせた子どもたちは煮干しをあっという間に食べてしまいました!

講師コメント

今日は、日本が世界に誇る「うま味」について勉強しました。お出汁の色や香りからどんな味かを想像したり、飲んだ時に温度を舌で感じたり。これまで学んできた五感をフルに活用し、うま味について考え、体験することができました。添加物を含まない一番出汁を贅沢に使って味覚の勉強が出来ていることはもちろん、日々の食事も当たり前と思わずに、感謝の気持ちを常に持ち続けてくださいね。

第7回 講義

秋の種まき

10月7日に行われた第7回のテーマは秋の種まき。
約1ヶ月をかけてリーフレタス、レタスミックス、水菜、カブ、ルッコラの5種類の野菜を育て、11月の調理実習でサラダにします。今回はVEGRIA FARM代表の由井 和也さんを講師にお迎えし、それぞれの種のまき方や育て方、特性を勉強しました。

子どもたちの前に置かれたのは、通気性を促進するヤシの木の皮や肥料が入った培養土。実際に手で触って土の状態を確認し、一つ一つ丁寧に種をまいていきます。
「種の大きさはどれくらいだろう?」と定規を使って自主的にサイズを測る児童の姿も。他にも芽が出るにはどれくらい待てば良いのか?発芽率は?など、積極的に質問が挙がりました。

水やりのコツは、水溜りができないようにまんべんなくまわしかけること。そして、「野菜の生長のために、水をたくさんあげたい!」という気持ちを抑え、天候に応じた適量の水を与えること。
毎日正しく水をあげることが、生長の鍵を握っています。1ヶ月後の調理実習で美味しい野菜をいただくため、真剣な表情で説明を聞く子どもたちでした。

今回は秋の種まき。来月の調理実習でいただく野菜を育てます。

種によってまき方が異なります。ポイントは優しく、丁寧に。

形は?サイズは?種に興味津々です!

今日の放課後から、水やり開始です。

毎日の水やり当番も決めました。
天候に応じた適度な水やりが、生長の鍵を握っています。

講師コメント

自分で育てた食材はきっといつもより美味しく感じるでしょうし、これから先、その味を忘れないと思います。
水やり担当の日は、是非クラスのお友だちにその日の野菜の様子を共有しましょう。そして担当でない日も野菜を観察し、みんなで愛情込めて育ててください。

講師プロフィール

 
福田 順彦(ふくだ のぶひこ)

東急ホテルズ&リゾーツ株式会社 専務執行役員
東急ホテルズ 総料理長 セルリアンタワー東急ホテル 総料理長